理事ごあいさつ
日本人ほど昔から敏感に色を見分ける才能を持った民族はいないと思う。色を感じる才能とは心がとても深いということに繋がるのだ。僕は色のことを思うと清少納言の枕草子を思い出す。「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて紫だちたる雲のほそくたなびきたる。夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。冬は、つとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。」このすばらしい自然観察を一読して、カラーデザイン検定に望んでほしい。
浅葉 克己
アートディレクター
ICD国際カラーデザイン協会会長